02 カメラの魔法

 ディアルバクルから西に150キロほど離れたシャンルウルファという町。
 旧市街の狭い路地を歩いていた。
 昼過ぎの太陽は容赦なく乾燥した町を焼いていたが、僕がいる入り組んだ細い路地は両側の建物が作る薄青い影の中にあるのでそれほど暑さを感じなかった。時折吹き抜ける風が上昇している体温をほんの少し下げてくれた。
 車どころか人もあまり歩いていない路地は静かだった。

 最初は2人の男の子たちとすれ違っただけだ。
 肩を組んで機嫌よく歩いていた彼らがあまりにも楽しそうに見えたので、写真を撮らせてもらおうと思い声を掛けた。2枚くらい撮って礼を言い彼らとは別の方向へ歩き出すと彼らが後からついてくる。特に行き先も決めてないのでカメラを構えて撮影するフリをしながら彼らとぶらぶら歩いていると、いつの間にか周りは子どもだらけになっていた。静かだった路地に、子どもたちの歓声や照れた笑い声が響いた。

トルコ・シャンルウルファ

トルコ・シャンルウルファ

 写真を撮られることに慣れていないのか、カメラを向けても少しもじっとせずに動き回ったりはしゃいだりしている子どもたちの中に目を引く女の子がいた。なんとか彼女をきちんと撮影したいと思うのだが、周りの男の子やもっと小さな子どもたちがちょろちょろと走り回ったりカメラの前に飛び込んでくる。
 必ずといっていいほど邪魔をしてくる眉毛のつながった少年を抑えながら、僕は彼女に身振り手振りで「君の写真がちゃんと撮りたい」と伝えるのだけど、彼女の方は1人で撮影されるのが恥ずかしいみたいでなかなかカメラの前に来てくれなかった。

トルコ・シャンルウルファ

 それでも諦めずに友達との2ショットを撮影し、他の子どもたちをかき分けながら彼女を撮ろうとしているうちにカメラに慣れてきたのか、少しずつちゃんとこちらを見てくれるようになってきた。それどころか邪魔をしてくる眉毛君にも「あっちへ行って」と言ってくれるようになった。
 1時間くらいかかったが、最後にようやく彼女の写真を撮ることができた。
 もう照れたような表情はなく、その目はしっかりを僕のカメラを見つめていた。

トルコ・シャンルウルファ
 
( Sanli Urfa / Turkey / 2005 )