01 とにかく

 とにかく旅へ出たかったのだ。
 家と仕事場の往復のような毎日から抜け出して、広い世界を動き回りたかったのだ。

 午前4時に家を出た。
 真夜中といっていいのか早朝といっていいのかよく分からない時間。
 静かに光る道路工事の照明に照らされた駅までの道を歩く。
 改装後初めて利用する駅舎に人影はなかった。
 急行列車に乗り新大阪へ。
 空はすっかり明るくなっている。
 シャトルバスで伊丹空港へ向かい、2時間後には成田に着いていた。

 3時間遅れと表示されていたイスタンブール行きの飛行機が離陸したのは、結局予定出発時刻の5時間後だった。
 それから12時間後、夜明け前のイスタンブール空港へ到着。
 既に時間の感覚がなくなっていた。
 家を出てから30分ほどしか経っていないように感じていた。

トルコ・スルタンアフメトモスク

 空港のベンチで仮眠を取ったあと外に出た。早朝にもかかわらず7月の空からは強い日差しが照りつけ、しばらくは何もかもがまぶしくて目を細めながら歩かなければならなかった。

トルコ・イスタンブール

 ボスポラス海峡をフェリーで渡り、長距離バスのチケットを手に入れるためにハレムバスターミナルへ向かった。
 行き先はディヤルバクル。トルコ南東にある城壁に囲まれた古い街だ。
 タイムスケジュールを見ると、今日の夕方イスタンブールを出発、到着は20時間後になっていた。
 何日後に着くのかもうまく考えられなかった。
 とにかく広い世界を動き回りたかったのだ。
  
長距離バス移動中 

( Istanbul / Turkey / 2005 )