4-06 ハンピ

 カトマンドゥで出会った長身の男性に「ハンピは良かった」と聞かされていたので、立ち寄ってみた。
 岩山の間に広がる無数の寺院は、ある程度整備や修復が施されているものの、何もない荒れ野に忽然と姿を現す石積みの大きな寺院にはどことなく廃墟感が漂い、歩いているとこの世からは隔絶された異空間に居るような気がしてくる。時の流れを越えて今も存在している建物や、そこから見える昔から変わっていないはずの空や雲や太陽の作り出す影を眺めていると、今にいながら過去の時間を感じことができる。だから僕は遺跡が好きなのだ。
 昨日行ったパッタダカルの遺跡は、畑や小さな村しかない場所に突然整備された遺跡公園が出現して違う意味で驚いたが、あまりにも手が加えられ過ぎている印象だった。小奇麗過ぎる。だが、そこに祀られている大きな牛の石像は今でも周辺の人々の信仰を集めていて、ひっきりなしに参拝に来る人々がいた。信仰は未だ息づいていた。
 同じく昨日行ったアイホーレの遺跡は、パッタダカルとは違い生活に密着していた。離れた所に整備された遺跡公園もあるのだが、僕は何処からが遺跡で何処からが人家なのか曖昧な場所の方が興味があった。道路の脇にポツリと赤い石で作られた千数百年も前の小さな建造物の傍で、子供が遊んでいる。村を見下ろす小高い丘の上には古く大きな寺院が建っている。麓の家の軒下で昼寝をしている男達。
 しかし、それにしても、ここは熱い。「カンカンに暑かったよ」と言われていたが、本当にカンカンに熱い。温度計は40度を指していた。

ハンピ

( Hampi / India / 2002 )