2-15 一服

ネパール・カトマンズ タメルを出て、間口の狭い様々な品物を扱う商店が軒を連ねるインドラチョークへの通りを南に向かって歩き、色々な野菜や生活雑貨や衣料品などが筵(むしろ)の上に並べられ常に人々で賑わっているアサン広場から西へ伸びる通りと合流する交差点の、北西の角の左から2つ目に、僕が毎朝足繁く通う茶屋がある。
 扉のない大きな白木の仏壇。あるいは古い小さな神社の裏側の軒下を壁で仕切ったような、いずれにしても狭くて小さな店である。3畳程の広さ。道路側の壁はないので非常に開放的だ。右半分の壁に沿って鉤型に木製の長椅子が置かれていて、左半分にはごちゃごちゃ物が詰まった天井まで届く大きな木製の棚と小さ目の棚と灯油コンロが3台あり、残りの僅かな隙間にサリーを着た(この日は薄紫色のサリーに白いスカーフだった)太ったオバサンがしゃがんでチャイを作り簡単な調理をする。
 僕は常連のような顔で4ルピーのチャイと八ルピーのタマゴハンバーガーを注文する。ちなみにタマゴハンバーガーとは、丸い形のパンを横半分に切りフライパンで少し暖めて目玉焼きを挟んだ簡素な品である。
 椅子に座って外を眺めていると、この街に住む様々な人々の日常が通り過ぎていく。たまにガイドブックを持った欧米人がちらりと中を見て歩き去っていくが、多分彼らの目に僕はネパール人として映っていることだろう。

 近所のじいさんがやって来て、金の計算をしているこの店の旦那と世間話をする。
 若者が現れ黙って10ルピー札を出すと、太ったオバサンは引き出しの中から煙草を3本取り出し一ルピーのお釣と一緒に彼に渡す。
 男がビスケットを袋に一杯買っていく。
 ライターを借りに来る老人。
 目の前の通りをのろのろ走るオートリキシャー。
 サイクルリキシャーに乗った綺麗な女性。

 一息ついてから、オバサンに20ルピー払い8ルピー受け取って、当てもなく街を散歩する。これが今の日課である。

( Khathmandu / Nepal / 2002 )