2-05 お湯問題

 いままでいた東南アジアの安宿ではあまり気にしたことがなかった。
別になくても構わないと思っていた。
しかしカトマンズに来て宿を決める条件の最重要項目になったことがある。
お湯だ。
熱いシャワーが使えるかどうかだ。
 タイやカンボジアでの水シャワーには慣れていたが、さすがに気温が10℃を下回ると水を浴びるのはきつい。最初に泊まった宿はお湯がふんだんに出たものの値段もそれに見合うものだった。オリグチ君が宿を移るのも無理はない金額だ。僕もその後2度ほど宿を替えているが、理由はもちろん湯が出ないからだ。宿を選ぶときは必ず部屋を確認し、「ホットシャワー、オーケー?」と湯が出るかどうかを確かめることにしている。「オーケー、ノープロブレン」と宿の兄ちゃんに言われ、確かにお湯が出ることを触って確認してもなぜだか2日に1回は水しかでない。
 だんだん分かってきたことなのだが、基本的に安宿のシャワーから出るお湯は屋上に置いてある黒い色のタンクに貯めてある水が日光で温められたものなのだ。当然、タンクが空になれば水しか出なくなる。曇りや雨が続くとタンクそのものが暖められないので、お湯ができない。宿によっては電気湯沸かし器で水を温めているところもあったが、故障したり宿の兄ちゃんが電源を入れ忘れたりで、満足に湯を使えないことも多い。
 オリグチ君お勧めのこの宿も、外窓はないものの廊下側には窓があり1人分にしてはもったいないくらい広い部屋でなかなか居心地は良い。しかし、やはり昨日はお湯が出なかった。オリグチ君はたまに街で会うと夕食を一緒に食べたりしていたが、今朝早くポカラに発ってしまった。入れ替わりで僕がこの部屋に入ったのだ。彼は水シャワーでも気にしそうにないタイプだったし、文句を言うわけにもいかず、僕も半ばお湯問題に関しては諦めかけていたのでしばらくはこの宿にいることにした。

02-05-1

( Khathmandu / Nepal / 2002 )