Piece.12 「水鏡」

 チェンラーイからバスで7時間程かけてスコータイに着く。
 宿を決め、まだ16時頃だったので少しだけ遺跡へ行ってみることにして乗合のミニバスに乗り込んだ。車内は学校帰りの小学生で一杯だった。太った運転手のオバサンに遺跡に行きたいからそこで降ろしてねと頼んだ。
 目的地の遺跡公園は終点だった。

タイ・スコータイ 薄暗くなりかけていて観光客はほとんどいなかった。西の空が薄く赤紫色に染まり、東の空の色はどんどん濃くなっていた。あまり遠くに行かないように歩いていたら、制服を着た中学生2人組に呼び止められアンケートに答えた。あまり覚えていないが、外国人にとってタイはどう思うかとか、スコータイはどうだとか、そんな質問だった。
 いつの間にか暗くなっていたので急いでバス停に戻ったが、どうやら乗合バスの運転は終了してしまったようだった。町まで約12キロ。どうしたものかと思案していると、バイタクのオッサンが近づいてきて町まで80バーツで乗せてやると言ってきた。バスだと5バーツなのであまりにも高すぎる。値段の交渉に入ったがどうにもこちらの分が悪い。
 しかたないかなと思っていると、道路の反対側にも僕と同じようにバスに乗り遅れたカナダ人の学生が7人集まっていた。やがて近くのピックアップトラックと交渉を始めたので僕もそちらに便乗することに決め、仲間に入れてもらった。結局1人15バーツで話がまとまったが、トラックのオッサンの嬉しそうな顔を見たらもっと値切っておけば良かったと心の中で舌打ちをした。
 カナダ人たちは全員が美術系の学校の学生らしく、そういわれるとそれぞれイーゼルやキャンバス、スケッチブックなどを持っていた。アンコールワットに行ったことのある男がいたので、自分も行こうと思っているがいいところだったか?と聞くと、最高だったとの答えが返ってきた。ますます行きたくなった。
 町に戻り一緒に夕食を食べ、別れた。

( 1998 / Sukhothai / Thailand )